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「デジタル化するだけでは、DXとは言えません!」大手メーカーでDX推進を支援した担当者が語るDXの本質

この度、EMCカンパニーの広報・もえかが、社内外で耳にする疑問やナゾをキーマンたちへのインタビューを通じて解き明かす新シリーズ「教えて!メンバーズ」を開始します!

様々なテーマに対して、体当たりで取材&わかりやすくお伝えできれば思いますので、よろしくお願いします。

第1弾のテーマは、「DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進に必要なこと」です。

昨今多くの企業でDXの取り組みが始まり、新型コロナウイルスの感染拡大も影響して更にその推進が求められていますよね。
そこで、メンバーズが行う「DXプロデューサー・クリエイターによるDX推進支援」の推進担当であり、大手メーカーでDX推進を経験された小林洋祐さんに取材しました。
DXについて実はよくわからない…どうやってDX推進したらよいのだろう…とお悩みの方は、ぜひご一読いただけると幸いです。

目次

 

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小林 洋祐
株式会社メンバーズ EMCカンパニー EMC推進室 DX推進&セールスG マネージャー/DXプロデューサー
2013年にメンバーズへ新卒入社。SNS運用を中心に10社ほどの案件支援を経て、大手メーカーの専任担当を約7年にわたり従事。そのなかで、「デジタルのよろず相談役」のようにお客さまに寄り添い、ビジネス運用面での変革(DX)の推進支援を行った。2020年10月から、メンバーズ全社でDX人材100名の創出に向けた主担当となる。

1.デジタル化するだけでは、DXとは言えません!

「DX」の言葉自体は毎日のように聞くものの、「従来までのIT活用との違いがわかりにくい」と感じる方も多いと思います。改めて、DXとは何でしょうか?
 
小林:確かに人によって捉え方が異なりますし、様々な定義や意見がありますよね。
ちなみに経済産業省が2018年に策定したガイドラインでは、以下のように定義されています。

DXの定義:「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」
引用:DX推進ガイドライン(経済産業省)
 
 
なるほど、製品・サービスだけでなく、業務そのものや組織といったあらゆるものをデジタルで変革するということですね。「顧客や社会のニーズを汲み取る」という点も重要そうです。
 
小林:ほかにも、「デジタイゼーション」と「デジタライゼーション」という概念もあります。デジタルを活用して「ビジネスプロセス」を変換し効率化やコスト削減することが「デジタル化」。「ビジネスモデル」を変換し新しい価値を生むのが「DX」という考え方です。
 
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なるほど、デジタル化=DXではなくて、「ビジネスモデル」をデジタルで変革する=DXということですね。
 

小林:そうですね。縦割り組織の場合は、組織横断でデジタライゼーションを行うこと=組織の変革という意味で「DX」と言えると思います。

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DXについて、丁寧に教えてくれる小林さん。まるで学校の先生のようです。

2.DX推進には、現場・技術・課題解決の3視点が肝だった

実際に小林さんも大手メーカーさまのDXを推進されましたよね。どのような支援をされたのでしょうか?
 
小林:いくつか事例がありますが、「大規模データ活用プロジェクト」がその1つです。

お客さま側で、組織横断でデータを活用したマーケティング施策を実施することが決まり、ツール活用の全体設計が完了したのですが、現場へ設計を反映する段階で現場の状況を考慮した進め方に難航していたんです。

そこで、「現場のことをわかっていて、デジタルの専門家でもあるメンバーズに相談しよう」とお声がかかり、プロジェクトに参画しローンチを成功することが出来ました。
 
 
あれ?それってDXではなくデジタイゼーションのように思ったのですが…。どうして、この取り組みがDXと言えるのでしょう?
 
小林:これまで一部の部署で会員データは蓄積されていたものの、他部署でそのデータが活用されることがありませんでした。この取り組みにより、デジタル広告を行う部署でも精密なターゲティングにデータを活用できました。そして、より購入意向が高く商品を必要としていると思われるユーザーにアプローチでき、データマーケティングが本格化したのです。
 
 
なるほど。データ活用ツールを導入したことがDXではなく、それによりユーザーへの提供価値をデジタル主体で創出できたのでDXと言えるわけですね。
 
小林:そういうことです!
 
 
お客さまのなかで「メンバーズ=現場と技術のどちらもわかる存在」という認識があり、お声がかかったという話がありましたが、そういった存在は珍しいのでしょうか?
 
小林:そうですね。もちろん現場のことはお客さまがよくわかっていますし、技術の面でサポートできるベンダーは多いと思います。

そのなかで、メンバーズは国内大手企業さまを中心に支援しており、各企業ごとの専任チームを提供する事業モデルとなっています。なので、デジタルに関する知見はもちろん、高い主体性と成果志向を兼ね備えたクリエイターが支援にあたります。私も様々な企業を支援してきましたが、そういった存在はあまりいないのが実情です。

また、それに加えて、「ビジネス課題の解決視点」を持っていたこともお客さまからお声がけいただいた理由だと思っています。
 
 
「ビジネス課題の解決視点」について、詳しく教えてください
 
小林:お客さま企業の経営層と同じ視点をもって、どのように解決すべきかを考える視点です。このような視点をもつことでお客さま企業の現場と経営層のパイプ役としても頼っていただけたと考えています。

メンバーズでは、お客さま企業のマーケティング成果を創出するため、アカウントプラン(計画書)を半期に1度立案しています。また、前期の成果確認や次期の方針をお客さま企業の経営層にレビューいただいています。

そういった活動を主体的にやらせていただく過程で、「ビジネス課題の解決視点」をもった人材を育成しています。
 
20201104_dx_essence_04引用:メンバーズ会社案内
 
 
お客さまは最初からメンバーズに対して、現場・技術・課題解決の3つの視点を持ったパートナーだと認識していたのでしょうか?
 
小林:徐々に認識いただき、信頼してもらえたと思っています。長く対応していたお客さまですが、案件開始当初の私の心持ちとしては、お客さまから色んな相談を受けようと思っていました。

当社内で「カフェ常駐」とよく語られるのですが、一時期お客さまのオフィス近くのカフェに待機してお客さまのお悩みごとを聞くようにしていました。最初はSNSや広告領域での御用聞きだったところから、専門知識をもった集団としての関わり合いを経て、特定の領域に限らない「デジタルのよろずの相談役」となることができました。
 
 
お客さま内でDX推進を完結させることも出来ると思うのですが、第3者的な存在がいた方がスムーズに進めることが出来るのでしょうか?
 
小林:お客さまの社外にいるからこそ、DX推進の役割として機能できたと思っています。
というのも、もともとはこのメーカーさまの支援は、Facebookアカウントの運用からスタートしました。投稿ネタを提供くださる担当者が製品ごとにいらっしゃったので、自然とさまざまな情報がメンバーズに集まるという環境もあり、各担当者のハブ的な存在として頼っていただけたと思います。

そういった製品ごとの横断的な情報をもっている存在というのは、縦割りになりがちな大きな組織のなかでも重宝していただいたように思いますね。
 
 
確かに大きな組織の場合は、社外からの働きかけがあった方が情報伝達や調整がスムーズに推進できそうですね。
 

ビジネス課題の捉え方についてもわかりやすく教えていただきました。勉強になります!

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3.「DX」は何でもできる魔法の言葉ではありません

なぜ今DXがこんなにも注目されているのでしょうか?新型コロナウイルスの感染拡大でリアルな活動が制限されたことも影響しているのでしょうか?
 
小林:「DX」という言葉はコロナ前からあり、各社今後5年から10年ほどで取り組む課題と認識していたと思うのですが、コロナにより求められる推進スピードが加速したように感じています。

そして、多くの企業で根深い課題はあるものの、組織としてなかなか動けなかったケースがあったと思います。それが、コロナによって直近でアクションしなければならない状況になり、一気に動き出したと感じています。

幸い技術も追いついてきていますので、これまでのリアルを中心とした顧客とのコミュニケーションの在り方に対して、改革が求められています。
 
 
「DXの取り組みを進めたい」とお考えの企業も多いと思いますが、押さえておくべきポイントは何でしょうか?
 
小林:ずばり「自社の課題をはっきり認識すること」です。

先ほどのデジタル化とDXの違いもそうですが、DXの枠組みを理解しないまま走り出してしまうと、世の中にあるDX事例やDXソリューションをそのままやることが正解だと誤解してしまいます。

私もDXに関するセミナーをたくさん聞きましたが、既存のサービスやソリューションが紹介されると、ついついそのまま取り入れたくなるんですよね。

既存のソリューションを取り入れることだけがDXではなく、課題を明確化してそれをデジタルで解決し、ビジネスモデルへ変換していく取り組みが結果的にDXになると考えています。
 
「DX」は何でもできる魔法の言葉ではありません。泥くさい作業かもしれませんが、まずは自社の課題を認識すること。そして、課題を解決するために何をすべきなのか相談できるパートナーを見つけることが近道かと思っています。
 
 
小林さん、ありがとうございました!
 

今回のお話をまとめると・・・

 

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<編集後記>
記念すべきシリーズ1本目の記事はいかがでしたか?実は今回インタビューした小林さんは新卒時代の元上司。新卒当時、ホワイトボードを使って「デジタルマーケティングのいろは」を教えていただいたことを思い出し、ぜひホワイトボードの前で写真を撮りましょう!とリクエストしちゃいました。

「DXって何?」といった概念的なお話は、小林さんが適任だろうというこちらの期待を越え、アカデミックな情報や本質を捉えた考えを惜しみなくお伝えいただき、ありがとうございました!第2弾は、カンパニー社長である西澤さんへのインタビューです。お楽しみに!!

 
※この記事は2022年以前にメンバーズコラムに掲載していた記事のアーカイブです。

 

執筆者紹介

鈴木 萌果

EMCカンパニー EMC推進室 マーケティング&コミュニケーショングループ

2015年にメンバーズへ新卒入社。ソーシャルメディア運用・広告ディレクション業務を経験し、現在はEMCカンパニーの広報・マーケティングを担当。社内のサービス・取り組みを発信する『EMCライター』という社内唯一の職務をせっせと遂行中!

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