• Web運用

航空事業の1本足打法から脱却せよ!ビジネスモデル変革のカギは、高いチーム力にあった

EMCカンパニーの広報・もえかが、社内外で耳にする疑問やナゾをキーマンたちへのインタビューを通じて解き明かすシリーズ「教えて!メンバーズ」の第10弾です。

今回は、ANAの航空事業以外でのビジネス強化の役割を担うANA Xさまが手掛けた顧客エンゲージメント・プラットフォームのプロジェクトに携わった当社メンバーが登場です。

目次

 

お話を聞いたのは、この方々!

20210906_ana_platform_01玉井 良之典(写真左)
株式会社メンバーズ EMCカンパニー ユニットリーダー
2014年メンバーズ入社。大手ECサイト運用ディレクター、大手アパレルDX案件のディレクターとして従事したのち、2019年よりANA・ANA X案件を担当。直近のプロジェクトではAdobeマーケティングツールを活用したパーソナライズ領域のテクニカルディレクションを行う。
信森 厚貴(写真右)
2020年メンバーズ入社。大手アパレルメーカーの特集サイト(24ヵ国語対応)のディレクションを担う。エンジニアとしての経験を活かしANAさま・ANA Xさまの構築案件をテクニカルディレクターとして支援。

今回のプロジェクト概要をご紹介

取材内容に入る前に、プロジェクトの概要をご紹介!

ANA Xさまでは非航空事業に力を入れ、ANA経済圏での体験を豊かにするためのプラットフォーム機能の進化やビジネスモデルの変革を目指しています。
今回リニューアルプロジェクトの第1弾として、顧客エンゲージメント・プラットフォームを構築しました。本プロジェクトでメンバーズはコンセプト策定からご支援し、その後5ヵ月の短期間でアドビ製品をフル活用した大量のページの整理・コンポーネントの作成、レコメンドロジックの設計を行いました。

 

今回のプロジェクトのなかで、メンバーズはどの領域に携わったのでしょうか?

玉井:まずコンセプト策定を2020年秋頃からご支援し、その後、Webサイト構築を5ヵ月かけてリリースまでご支援しました。

 
今回のWebサイト構築では、アドビ製品をフル活用したと伺いました。具体的にどの製品を使っていたのか・選んだ理由を教えてください。

玉井:主にAdobe Experience Manager・Adobe Target・Adobe Analytics・Adobe Launch・Adobe XDを使っていました。

もともとANAさまではアドビを導入しており、今回はこれまでANAさまがお持ちだった様々なコンテンツを網羅的に回遊できる横断的なサイトを目指していたので、既存アセットの活用ができる点からアドビを採用しました。

 
これまでメンバーズでAdobe Analyticsなど個々の製品を使った支援はあったものの、複数のアドビ製品を総合的に活用したご支援は少なかったと思います。何か社内でこれまでのナレッジやノウハウの蓄積があったのでしょうか?

信森:残念ながら、なかったですね。なので、チーム内で常にアドビ製品の勉強をして、分からないことがあったらアドビさまに問い合わせをし、一番良い活用方法を探していきました。

 
アドビに限らず、色んなツールを導入するものの活用しきれないケースがよくあると思うのですが、今回しっかりツールを活用できたポイントはどこだと思いますか?

玉井:このサイトを構築したあとに、どのパートナー会社が運用するかはまだ決まっていなかったのですが、運用を強みとするメンバーズとしてはそこも含めてご支援したいと考えていました。なので、構築のタイミングから運用設計メンバーが入り運用しやすい状態をつくっていくことを意識してツールを活用するようにしました。

短期間の構築プロジェクトを実現したチーム力の秘訣

短期間の構築フェーズでしたが、その中で確立された制作プロセスが非常にユニークだと伺いました。詳しく教えていただけますか?

玉井:短期間で納品するために、毎週金曜日に先方の部長さまを含めた会議を設け、ディスカッションをした内容を翌週の会議で反映させるサイクルを毎週続けていました。

 

1週間で反映…!1週間の短期間サイクルを回し続けるために、工夫したポイントはありますか?

玉井:通常はディレクターらが会議に出てその内容をデザイナーに伝えて作業に入ってもらうことが多いですが、今回はディスカッションの場にデザイナーが入りその場で意見を言える環境をつくりました。そのおかげで、会議の場で自分たちが描くサイトの姿をお客さまも含めて共有して、翌週の月~水曜日くらいには画面に反映させて、社内ですり合わせもして、という超高速サイクルがうまれました。

 
通常の案件スピードと比較するとどれくらいの速さなのでしょうか?

信森:通常の案件から考えると、3倍速くらいのスピード感で走り続けた感覚です(笑)会議で議論したことが翌週には画面へ反映されているので、非常に速かったと思います。

 
ディスカッションでしっかりデザイン面での意見を伝え、ハイスピードで反映するには、デザイナーのスキルも高かったのではないでしょうか?

玉井:ついていくのに必死だった子もいると思いますが、自分が今何をデザインしているのか言葉で表現できるタイプのデザイナーが多くいたおかげですね。

 
何か月もこのスピード感を続けるのは相当大変だったと思うのですが、乗り越えていけた理由は何でしょうか?

信森:納期がどうしてもずらせないプロジェクトだったので、やるしかないという気持ちでしたね。自分の領域外も手伝えるものは手伝って、なんとか間に合わせようとしていました。

玉井:チーム全体として、「俺の領域はここだから」と役割を限定しない人が多かったよね。

信森:いい意味で首を突っ込む人が多かったですよね。周りの進捗を気にして、「大丈夫?」と声をかけるような積極性や主体性が各メンバーにあったと思います。

 
メンバーズでは、各お客さま企業ごとに専任チームを編成していますが、この案件は本プロジェクトを機に色んなチームから招集されたメンバーで編成されましたよね。それでこのチーム力はすごいですね!

玉井:このチームワークを実現するために、小さなチームを10個ほど作ってリーダーを任命し、各リーダーが集うリーダー会を毎週2時間くらいかけて実施していました。各チームが今どういった状況なのか、リーダー間で丁寧に把握するようにしていましたね。

 
忙しい中で毎週2時間の捻出は、かなり大胆な時間の使い方では…?

玉井:そうですね。けれど、これまでの経験や勘どころから、時間をかけてでも互いの状況把握はやった方がいいと判断しました。とにかくミーティングをしたよね(笑)

信森:本当にスケジュールがぎゅうぎゅうになるくらい、ミーティングは多かったですね。でも、そのおかげでスピーディーにアラートを吸い上げることもできていたので、無駄な時間ではなかったと振り返ってみて感じます。

ANA Xさまにとってメンバーズはどんな存在だったのか?

メンバーズ内のチームワークの話がでましたが、お客さまとはどのような関係性だったのでしょうか?

玉井:コンセプト策定フェーズは、本当にお客さまと一緒になって議論しました。例えば、ANAの航空事業以外でのビジネス強化の役割を担うANA Xさまとして、プラットフォーム事業を始めてECサイトをやると伝えられた際は、「それってユーザーにとってどうなの?」という意見を率直に伝えたり、ANAというブランドをどうやって活用・反映させるのか、お客さまの方針とユーザー視点のバランスを考えながら、本当にたくさん議論を重ねました。

信森:お客さまとの関係性だけでなく、開発領域のパートナー会社との関係性をうまく築くことも重要でした。プロジェクトの後半は僕らとワンチームになって、協力的に進めることができましたね。最終的には、毎日一緒に朝会をする仲になっていましたね(笑)

 
コンセプト策定でANAらしさを議論したという話がありましたが、メンバーズとして意識したところはありますか?

玉井:コンセプト策定が得意なのはコンサルティング会社と思われがちですが、そういった会社は実行部隊がいない場合が多いです。特に運用領域は対応できなかったり、できても金額が高すぎて発注できなかったりするんです。

メンバーズは、運用に強くて、構築もできるし、コンセプト策定をできるメンバーもいることから、「実現できるものをつくる」ということを重視しています。今回のプロジェクトでも「これって何年かかったら実現できるんですか?」というものではなく、きちんと実現・運用していけるものを、議論の中で我々がブレークダウンしていくことを心がけていましたね。

 
ビジネスモデル変革という大きなプロジェクトのなかで、議論で意見のぶつかり合いのようなものはあったのでしょうか?

どちらかというと、マイルストーン毎に社内承認を得るための準備に時間を割いていましたね。もしかしたら、説明用の資料枚数がサイトのページ数より多いかもしれないです(笑)

逆に組織を横断する新たな取り組みを進めるには、先方の他部署や上層部への説明や理解を得るためのご支援も含めてやらないと、メンバーズが目指す「お客さま企業のビジネスモデルの変革」はできないと思っています。

 
なるほど、DXを進めるにあたっては、そのあたりの調整も非常に大切になりますよね。DXプロジェクトはこれからも続くと思いますが、メンバーズの姿勢として続けていきたいこと・新しく挑戦したいことを教えてください。

信森:このあとも今回より更に大きなプロジェクトが控えていて、全社からメンバーが招集されます。招集されたメンバーがANA X案件の進め方を身に着けていただいて、自分の部署に持ち帰ってもらえるといいなと思います。ANA X案件のやり方が必ずしもベストではないかもしれないですが、ひとつの例としてその進め方を分かる人材が各部署にいると、メンバーズ全体として強くなると思います。

玉井:次のプロジェクトでは、お客さま側でこれまで紙のパンフレットを作っていた方や空港で勤務されていた方も多くいらっしゃるので、その方々にWebのスキルトランスファーをすることもやっていきたいと思いますね。

 
最後に、ANA Xのご担当者さまから本プロジェクトへのコメントを見つけたのですが、グッとくるものがあったので紹介させてください。
 
ご担当者さまからのコメント

(一部抜粋)
もう一つは貴社のチーム力です。私もこれまで多くの外部委託先との取引がありますが、プロジェクトに参画するメンバー全員が前向きで、かつプロアクティブであったことは、経験がありません。
極めて抽象度の高い、稚拙な表現ですが、この前向きさのあるやなしやでプロジェクトの成功率は大きく変化すると思っています。貴社においては、やり取りをさせていただいた全員にこの前向きさを感じました。
発注側PMとしてプロジェクトを推進しやすかったです。

 
今回のお話をまとめると・・・
20210906_ana_platform_02

 

 

<編集後記>
「教えて!メンバーズ」の第10弾は、いかがでしたか?ANAが航空事業以外のビジネスに注力する過渡期に実施した今回のプロジェクトは、ビジネス変革を推進する施策としてまさにDXと言えるのでは?アドビ活用にも果敢に取り組み、お客さまと議論を重ねて信頼を得た様子がラストのご担当者さまからのコメントから伝わりますよね。本記事を通じて、メンバーの奮闘が少しでも伝わると嬉しいです!

 

※この記事は2022年以前にメンバーズコラムに掲載していた記事のアーカイブです。

執筆者紹介

鈴木 萌果

EMCカンパニー EMC推進室 マーケティング&コミュニケーショングループ

2015年にメンバーズへ新卒入社。ソーシャルメディア運用・広告ディレクション業務を経験し、現在はEMCカンパニーの広報・マーケティングを担当。社内のサービス・取り組みを発信する『EMCライター』という社内唯一の職務をせっせと遂行中!

ページ上部へ