1.目標を明確にする
一見当たり前のことですが、意外とできていないことも多いのではないでしょうか。
目標が明確か否かは、以下のポイントでチェックできます。
目標単価(CPAなど)を設計する
予算稟議の都合から、広告費が先に決まり、「その中でなるべく多くのコンバージョンを獲得したい」、「目標CPAは過去実績をベースになんとなく決めている」といった依頼のケースもあるかもしれません。
しかしながら、広告を出せば出すだけ赤字になってしまうようなことは、広告主はもちろん、代理店にとってもいずれ発注がなくなるリスクがあるわけで、良い状態ではありません。
まずは概算でもよいので、損益分岐点を意識した目標単価設定にチャレンジしてみましょう。それにより、代理店側のマインドや本気度に、良い影響を与えることができます。
最適化するKPIを一本化する
運用型広告では原則として、ひとつのKPIに対し最適化していく仕様、運用方法になっています。「コンバージョンも獲得したいが、クリックも少ないと困る」といったオーダーは、代理店を不毛な数値合わせのマインドに陥れるかもしれません。
脱・媒体計測
媒体計測の場合、計測定義や計測精度の違い、媒体間の重複などがあり、公平な比較が難しくなります。少し穿った見方ですが、代理店が「レポートの数値を(実情よりも)良く見せる」こともできてしまいます。
そうでなくとも「レポート上は成果が出ているのに実際の売上が伸びない」といったことが起きる原因になってしまうので、Google AnalyticsやAD EBiSなどの第三者ツールを使い、その数値を正として、目標や成果の管理をおすすめします。
ただし、「媒体計測はやめるのではなく、併用する」ことが重要です。媒体計測をやめると、広告管理画面側でデータが把握できなくなり、最適化が難しくなります。
2.情報の透明性
「代理店とのコミュニケーションがどうもうまくいかない」と感じられた際、ぜひ意識していただきたいのがこちらです。
代理店と広告主双方で、可能な限り情報の透明性を高めていくと、相互の信頼関係が生まれ、腹を割ったコミュニケーションが生まれます。そして、力のある代理店ほど、より踏み込んだ提案や示唆出しをしようという自発的なマインドが高まっていきます。以下は代表的な例です。
広告アカウントの閲覧権限をもらう
代理店は、情報やノウハウをブラックボックスにすると批判されることがあります。まずは広告アカウントの閲覧権限からリクエストしてみるとよいでしょう。
私の経験上、運用力があってノウハウ開示を嫌がりそうな代理店ほど、意外にも広告アカウント閲覧権限の開示をカジュアルにOKしてくれることがあります。それくらい自信があるということかもしれません。
本来、運用ナレッジは代理店が独占するものではなく、広告主と一緒につくりあげていくものだと考えています。
プロモーションする商品やサービス全体の好不調や、Web広告以外のチャネルの好不調を共有する
例えばWeb広告は好調に見えるが、サービス全体で伸びていない場合、Web広告と他チャネルの獲得ユーザーがカニバリを起こしているかもしれません。
また、Web広告は外的要因や季節性トレンドに思いのほか影響を受けるものです。本当に好調なのか(不調なのか)、その要因が施策や運用にあるのか、外的要因にあるのか、ミスリードしないためにも代理店には積極的にこういった情報を伝えて、分析や運用上の判断材料にしてもらうとよいでしょう。
広告周辺領域のデータを可能な限り開示する
例えばGoogle Analyticsの閲覧権限付与や、CRMデータの分析結果や既存顧客向けアンケートなど、広告主側で調査、分析しているデータが該当します。Web広告は機械学習、自動化が進み、広告管理画面で完結する打ち手はある程度のところで頭打ちになります。
代理店は、成果を出すために広告主側で持っているデータを活用した施策がこれまで以上に求められるようになっており、代理店の力量を探る意味でも、契約やプライバシーポリシー上問題ない限り積極的に共有していくとよいでしょう。
まとめ
最後に、この記事では「マインド」という言葉を何度も使っていたのですが、お気づきでしょうか。
弊社はもちろん、私が代理店窓口業務として関わってきたさまざまな広告代理店は、どこも「クライアントに貢献したいマインド」をもともと持っていると思います。それをいかに引き出すかが、広告主にとって勝負の分かれ目といえます。
代理店「コントロール」ではなく代理店「マネジメント」としているのもそれが理由です。
それでも、どうしてもうまく代理店と付き合っていけていない、という場合は、貴社の状況や代理店の特性に合わせたアドバイスやサポートをいたしますので、ぜひ一度弊社までご相談いただけると幸いです。