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CVRを劇的に改善する方法!業界別の平均&11のステップ

CVR改善とは、Conversion Rate(コンバージョンレート改善)の略称で、Webサイトやランディングページのコンバージョン率を改善するための取り組みを指します。

コンバージョンレートとは、Webサイトやランディングページに訪れたユーザーが、期待されるアクションを実行する確率のことを指し、一般的には何かの申し込みや購入する確率のことです。

具体的には、Webサイトやランディングページの設計やコンテンツの改善、CTA(申し込みボタンなど)の改善、ユーザーのニーズに合わせたコンテンツの提供、アクセス解析などです。

Webサイトやランディングページのコンバージョン率が低い場合、ユーザーがアクションを起こさずに離脱してしまう可能性が高く、ビジネスの成果にも影響を与えるため、CVR改善は重要です。

目次

CVR改善のメリット

CVRを改善することで、収益の増加やコスト削減の効果が、中長期にわたり持続する状態が作れます。
 
改善がうまくいくと、しばらくはCVRの高い状態が続き、それに伴い獲得単価も抑制され、申し込み数の増加も期待できます。
ページの細かい部分を改修していくので、コストとしては広告投資に比べると少額のコストで済みます。

1. 獲得単価(コストパフォーマンス)の向上

Webサイトやランディングページのコンバージョン率が向上することで、成果をより効率的に上げられます。
 
サイトに対して広告を実施しているなら、CVR改善によってCPA(獲得単価)を抑えることが可能です。つまり、広告費の中で獲得件数を増やして、売上の向上が期待できます。

広告を実施していなくても、サイトの制作費用などからコストを計算すれば、費用対効果を計算できます。

2. 中長期的な成果が得られる

WebサイトやランディングページのCVR改善によって、ユーザーの信頼やロイヤルティを高めることができ、中長期的なビジネス成果が期待できます。

3. ユーザーの満足度向上

CVR改善には、ユーザーのニーズに合わせたコンテンツの提供や、設計やコンテンツの改善が含まれます。ユーザーが求める情報やサービスを提供することで、ユーザーの満足度を向上させることができるでしょう。

4. 競合優位性の獲得

CVR改善に取り組むことで、同業他社との差別化を図ることができます。ユーザーにとって使いやすく、魅力的なWebサイトやランディングページを提供することで、競合優位性を獲得できるでしょう。

5. データに基づいた意思決定

CVR改善には、Webサイトのアクセス解析や、A/Bテストなどのデータ分析が含まれます。データに基づいた意思決定を行うことで、より効果的な改善が可能です。

CVR改善によって得られるインパクト

CVRを1%から2%にすれば、単純に100件の申し込みが200件と2倍になります。

2倍でなくとも、CVR1%を1.1%にすれば100件が110件、CVR1%を1.2%にすれば100件が120件と、わずかでも改善できれば、申し込み件数へダイレクトに影響します。

獲得件数が増加すれば、それに伴い売上金額も変わってきます。
 
毎月1万件の購入がある場合、CVRが1.1%になっただけでプラス1,000件になります。

CVR改善にも限界はある

CVR改善は、魅力的な施策ではありますが、Webサイトを改善し続ければ、青天井にずっとCVRが上がり続けるというものではありません。ユーザーが、目的の行動をストレスなくできている状態で、さらにCVRを上昇させようとしても、伸びしろが少ないことは容易に想像できます。

CVRを改善するにはどうすればよいか?

ユーザーがWebページに流入してから、ゴールである申し込みまでは、下記のようなページを経由して申し込みに至ります。
 
20240329-cvr-01
 
左側から右側のページへ1ページずつ移って行くわけですが、CVR改善は、このページを移動する確率を上げていきます。この率のことを遷移率と言います。

また、これらをファネルで表現することもできます。ファネルで、離脱するポイントを把握し、そこを改善していきます。

なぜ次のページへ行く人と行かない人がいるのか?

ユーザーは、その商品に関心があってページを開いているはずなのに、必ずしもすべてのユーザーが最後の申し込みページまで進むことはありません。
 
下記のように、ページを遷移するごとに人は減っていきます。
 

20240329-cvr-02

 
もちろん、ウィンドウショッピングのようにふらっとそのページを開いた人もいますし、今は買わないけど、いつか買いたいと思っている情報収集目的の人もいます。 
 
ユーザーは、ページやボタンをクリックする瞬間、「こんなことが書かれているのではないか」という期待をもっています。クリックしてみて、それが期待通り、またはそれ以上であれば読み進めます。ただそれが期待したものとは違ったり、何らかの違和感があると、次のページに進むことを止めます。
 
ユーザーが持っている期待や違和感を探り、改善をすることがCVRの向上につながります。

次のページへ進まない理由を考えてみる(仮説を立てる)

ユーザーが次のページへ進まない理由について、次のような想像をしてみましょう。

1. ページの読み込みが遅い
すぐ見たいのに表示されない。すぐに確認できることが求められるページなのにページが重い。

2. ページのデザインが見づらい
デザインが煩雑である。そもそも読み手の読みたい流れになっていない。

3. ページがスマートフォンに対応していない
対象となるユーザーは、移動中にページを見ることが多く、パソコンで見るような行動をしていないのでは?

4. ページの一部にエラーがでている
信頼できる情報を求めてクリックしたが、一部エラーがあり不安を感じ離脱した。

5. コンテンツが一般論で他と大差ない
ほかのページと大差がなく、そのページを見ても無駄だと感じたため、別のページを探し始めた。独自の内容が不足していた。

6. コンテンツの内容が古い
新情報が次々と出る分野で、最新情報が得られると思いページを開いたのに、古い情報が表示されたため離脱した。期待外れだった。

7. 意思決定(申し込み、購入)をするにあたっての情報が不足している
サイズや寸法、使いたい機能の仕様や成分情報の説明が不足している。写真などの視覚では確認できない。思っているモノが届くのか判断できないのでほかを探すために離脱。

8. CTA(Call to Action)が分かりにくい
色が不必要にたくさん使われたり、表現に凝っているページで、次に何をすればよいかよくわからず離脱。

9. フォームが煩雑で入力が面倒(または煩雑そうに、面倒そうに見える)
申し込みを手早く済ませたいのに、入力項目がたくさんあって、入力を後回しにしようと思って離脱。
入力項目に注意書きや添え書きがたくさんあり、面倒くさそうに見えた。
入力するにも個人情報を確認して入力しなければならず、面倒だったため後回しにされた。

10. 価格が高い
想像していた金額より高い。平均的な相場より高い。


このようにユーザーが離脱した原因を考えてみましょう。どういう状態ならユーザーは次のページに進みたくなるのか複数案を出して検討します。

しかし、離脱の可能性が高い原因かどうか、なにかしらの基準がなければ選べません。そもそも、ユーザーは何を求めていて、販売している商品やサービスは、どの課題を解決するものなのかを把握しておくことが重要です。

CVR改善の一般的な手順

CVR改善の手順としては下記のような手順となります。

0.現状の把握

まずは現状を把握しましょう。Googleアナリティクスなどを使い、先ほどのファネルをもとに、現状を把握してみましょう。たとえばLP、フォーム、申込完了ページの3つの閲覧数や、遷移率を集計します。

1. 目標の設定

CVRを改善するためには、目標設定が重要です。目標となるアクションや数値を明確にし、改善の方向性を決定します。目標は希望や願望ではなく、ある程度論理的な根拠を伴った目標値である必要があります。
 
なぜなら目標は、「こういうことが実現できる」「次が見えてくる」といった、目指すためのやる気や意欲などの原動力を生み出すために設定するものだからです。
 
そのため「これぐらい」というものではなく明確なラインを引くために、数値で設定する必要があります。
 

2.その市場のニーズを分析

商品が解決できることや、ユーザーが商品に期待することを把握します。求められていることがわかれば、ページをどういう状態にしていくべきか想像しやすいでしょう。

3. ユーザー行動の分析

Googleアナリティクスなどを使い、全体像を把握していきます。全体を俯瞰することでユーザーの意図を把握することができます。
また、ユーザーの滞在時間やページビュー数、離脱率などのデータを収集し、細部の状態の理解も進めていきます。

4.仮説を立てる

「次のページへ進まない理由を考えてみる(仮説を立てる)」でお話しした通りです。先ほどの内容を参考にしながら仮説を立ててみてください。

5. 問題の特定

ユーザーの行動の全体像と行動の意図が把握できたら、離脱した箇所がわかるので、問題となっている箇所をピックアップしていきましょう。

6. 問題解決のための改善策の立案

ピックアップした問題に対して、改善策を立案しましょう。具体的には、ページの読み込み速度を改善する、デザインを改善する、コンテンツを改善する、CTAを改善する、フォームを改善するなどがあります。

7.改善数値の推計

改善策が立案できたら、何パーセントぐらい改善できそうか、コンバージョンが何件になるのかを、エクセルなどで推計してみましょう。
 
先ほどのファネルと問題箇所を用いて集計表を作ります。その上で、改善のパーセンテージを上げると、どのくらいコンバージョン数が変わるか数値を出してみます。

8. 実施に伴うコスト換算

大幅に改善できる見込みがある改善施策でも、多大なコストが掛かる場合はそれを実施できないこともあります。
 
特にフォームはシステムと連携していて簡単に改善できない場合が多いので、そもそもその問題箇所を変更できるのかを事前に確認しておく必要があります。

9.各改善施策の実装までの作業日数を算出する

例えば、2つの施策があり、どちらかひとつしかできない状況だったとします。
 
A施策は、10%上昇する可能性があるが、実装できるまでに3か月掛かる施策、B施策は、3%しか上昇する可能性がないが、3日で実装できる施策があるとします。この場合、どちらを先にやるべきでしょうか?

多くの場合、B施策の3%改善を先に実施するべきです。なぜなら、4日後から売上金額に数字の変化が反映される可能性が高いからです。A施策が実施できる3か月後には、A施策のコスト分を稼いでいる可能性もあります。

このように、実装までの作業日数を算出すると、どの施策を優先的に行っていくべきなのか、優先順位をつけられます。この実装までの作業日数に加え、各施策のコストも加えて、コストの回収日数なども入れると、より精度の高い優先順位を設定できます。

10.テスト期間の設定

仮に金土日の3日間でテストして、-3%の結果だったとしましょう。この結果をどのくらい信用できるでしょうか?

「週末をまたいだ」、「3日間」など、だれが見ても妥当性があると認められる期間でテストしなければ、このような疑義が生じます。そのため、テスト期間も根拠ある日数を設定する必要があります。多くの人は一般的にはカレンダーや暦に準じて行動しています。
 
たとえば月末は、給料日があったり、支払いの締め日になっていることが多いので、それに関連する行動をしています。
 
こういった一般的な人の行動も踏まえ、自身の商材は、いつ頃売れやすく、いつ頃売れにくいかということも加味して期間を設定する必要があります。

テストをするからには「たまたま良かった」「たまたま悪かった」という事態を排除し、施策による差を、可能な限り明確に示せるように計画する必要があります。

商材によっても、売れやすい時期、売れにくい時期というものがあります。なので、テスト期間も一概に何日間というよりは「テストとして妥当だといえる期間」を設定する必要があります。

11.テストのスケジュールを引く

これまでのことを踏まえて、テストのスケジュールは引いておきましょう。改善施策は細かい作業を行うことが多く、思いのほか時間を取られてしまうこともあります。少し余裕を持ったスケジュールを引いておきましょう。

注意点

テストで改善施策の実装を行う際は、すぐに元通りに戻せるようにしておく必要があります。改善を期待して実装してみたものの、思ったより効果がよくなかった場合、元に戻せない状態だとユーザーに対して悪影響が続いてしまいます。

また、変更前の状態が基準になるため、基準がわからなくなってしまえば、良くなったのか悪くなったのかの判断を迷うことにもつながります。

テストをする場合は、ABテストツールが便利です。ボタンの文字だけ変えたり、色を変えたりするなど、小さな変更がしやすく、また元に戻しやすいという利点があります。

改善施策の推計(目標)と実施後の数値の乖離

実施前に作った目標と、実施後の数値には乖離があります。目標数値を下回る場合もあれば、上回る場合もあります。CVR改善を何度も経験しているのであれば、予測精度も高くなりますが、それでもある程度の誤差は生じます。
 
改善施策を実施しても、目標を下回っているのであれば、その後どういう追加施策ができるのかを検討し、実施していきます。
 
しかし、現実には「目標に推定値が目標に全く届かない」、「改善スコープにシステムが絡んでおり、実際に施策の実施は不可能」という場合もあります。
 
その場合は、CVR改善だけでは目標を達成できないと判断し、CVR改善以外の施策も視野に入れて施策を検討しましょう。
具体的には、ページの流入元となっているトラフィックソースや、流入を誘導しているクリエイティブなどに着目します。

CVRの計算式を正しく知っておく

一般的なCVRの計算式は下記のようなものです。
 
<コンバージョン率の計算式>
CVR  = コンバージョン数 ÷ セッション数 × 100
 
セッションはGoogleアナリティクスの指標です。
これはGoogleアナリティクスを使った場合の算出式であり、広告の場合は画面上の計算式が少し異なります。

GAと広告は計算方法が違う?

GAのCVRの計算式はセッションが分母で、コンバージョンの数が分子になります。これが広告になると、指標の名称が異なり、また、画面上は分母も異なります
 

20240329-cvr-03

 
※インタラクション数はセッションとは異なり、動画視聴数なども含む
※インプレッションは表示回数を表している。セッションでもクリックでもないため、分母が異なる
 
検索広告では、クリック数が分母になります。しかし、最近リリースされたP-MAXキャンペーンでは、クリック数ではなく、インタラクション数が分母になっています。また、Meta広告では、インプレッション数が分母になっています。
 
このように広告媒体によっても違いがあり、また、配信メニューによってCVRの算出方法が違うため、単位を揃えて集計するにはデータをCSV形式で落として集計する必要があります。
 
 
広告種類別のインタラクションのカウント方法
Google広告ヘルプ キャンペーン タイプ別にパフォーマンスを確認する

目標の算出方法

CVRを改善するためには目標を設定することが重要ですが、実施するにしても、予算の制約があります。予算を承認してもらうためには、単なる希望的な数値ではなく、根拠が必要です。つまり、客観的に見て投資価値があることを示す必要があります。

しかし、ピッタリ当てはまるようなデータを探すのは難しいでしょう。また、当てはまるオープンデータが見つかったとしても、既に多くの広告主がこのデータを参考に参入している可能性もあります。

いずれにしても信ぴょう性のあるデータから、根拠に相当するための参考値を探すことが重要です。

一般的に「参考値」となるデータ

一般的に「参考値」となるデータは下記のようなものがあります。

1. 業界平均値
業界平均値は、同じ業界の競合他社のCVRを参考にすることができます。業界平均値を把握することで、自社のCVRがどの程度の水準なのかを把握することができます。
 
2. 過去のデータ
過去のデータを参考にすることで、CVRの目標を算出することができます。例えば、過去3ヶ月のCVRを平均値として算出し、今後の目標にできます。

3. ベンチマーク値
ベンチマーク値は、自社が設定した目標値に対する、同じ業界の競合他社の平均値を参考にすることができます。自社が設定した目標値が業界の平均値よりも高い場合、競合他社との差別化を図ることができます。

4. 専門家の見解
CVR改善に詳しい専門家の見解を参考にすることも有効です。専門家は、業界のトレンドや最新の情報を把握しており、適切なアドバイスを提供してくれることがあります。

以上のように、業界平均値や過去のデータ、ベンチマーク値、専門家の見解などを参考にすることで、CVR改善の目標を算出することができます。

14 業界の平均コンバージョン率

直接のリードの平均コンバージョン率 (前四半期比)
 

業界

Q1

第2四半期

Q3

Q4

B2B eコマース

1.7%

2.3%

2.4%

2.1%

2.1%

B2Bサービス

3.2%

2.5%

2.0%

2.9%

2.7%

B2B テクノロジー

1.4%

1.6%

1.6%

1.5%

1.5%

B2Cサービス

1.8%

1.7%

1.6%

2.0%

1.7%

歯科および美容

4.6%

4.5%

5.3%

7.0%

5.3%

ファイナンス

4.0%

4.8%

2.7%

2.8%

3.5%

健康管理

4.8%

5.6%

5.4%

5.5%

5.3%

工業

4.6%

5.8%

4.0%

5.6%

5.0%

知財・法務

5.3%

4.7%

3.7%

3.6%

4.2%

専門サービス

1.4%

2.3%

3.9%

3.2%

2.7%

不動産

3.2%

3.7%

3.6%

2.9%

3.3%

代理店

3.8%

2.7%

2.6%

2.3%

2.9%

旅行

2.1%

1.2%

1.9%

3.3%

2.1%

自動車

3.7%

3.9%

4.0%

4.3%

4.0%

 
14 業種すべての平均コンバージョン率は 2.6%です。
 
出典
Ruler Analytics.
Updated 2023: Average Conversion Rate by Industry and Marketing Source
(2023 年更新: 業界およびマーケティング ソース別の平均コンバージョン率)

まとめ

CVR改善のポイントは、ユーザーがページに訪問してから申し込むまでの遷移の中で「離脱しやすい箇所」にあります。CVR改善のためには、ページを訪れるユーザーの行動やニーズを理解することが重要です。

ユーザーが求めていることを満たしてないがゆえに離脱は起こるので、ユーザーのニーズを理解することが改善の起点です。

また、どの施策を選ぶかを判断するには、データに基づいた分析やA/Bテストなどの手法を用いることも有効です。

より多くのユーザーが期待するアクションを実行できるようになることで、ビジネス成果の向上につながり、同時に多くの価値を提供できます。

CVR改善を行う際は「どのぐらいの改善が見込めるか?」「どのぐらいのパフォーマンス向上が期待できるか?」など、あらかじめ仮説を立てておくことが重要です。

 

執筆者紹介

織原 松治

Web広告運用歴17年。ウェブ解析士マスター資格保持者。2社の広告代理店を経て大手デジタル系広告代理店へ。2023年からメンバーズへジョイン。 運用型広告を中心に全チャネルと非デジタルメディアも含めた運用を行っている。また、事業部の運用型広告支援サービスの立ち上げとメンバーの育成を担当。 そのほか、日本B2B協会などでのセミナー登壇や、営業部長をマーケティング部長へキャリア転換させる支援など、オーダーメイドな支援を得意とする。

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