• マーケティング

現場から組織を変えるには?JR西日本SC開発のDX部門における、オーナーシップを持ったチームづくりへの歩み

毎年夏に開催される「マーケティングアジェンダ」は、国内外のブランド企業のトップマーケッターが350人以上集結する日本最高峰のマーケティングカンファレンスです。

前半パートはこちら

 

登壇者_菅 恭一

株式会社ベストインクラスプロデューサーズ
代表取締役 社長
菅 恭一氏

 

 

登壇者_中通 康太ネスレ日本株式会社
デジタル&Eコマース本部 マネージャー
中通 康太氏

 

 

登壇者_石神 孝浩JR西日本SC開発株式会社

事業戦略室 マネージャー

石神 孝浩氏

 

 

登壇者_永松 拓土株式会社メンバーズ

デジタルマーケティング本部 本部長

永松 拓土

 

目次

ボトムアップでチームを変える

菅氏

2つ目のテーマは、ボトムアップで組織を変えるとは、具体的にどういうことか、ということです。

石神氏

JR西日本グループは、昨年4月にグループの経済圏を確立すべく、WESTERという会員・ポイントサービスを開始しました。その中で、我々はショッピングセンター事業では、WESPOアプリを通じた顧客体験の向上を、DX戦略のテーマとして掲げています。

私がいるJR西日本SC開発は、ショッピングセンター事業の本部機能にあたるのですが、その配下に約40の商業施設があります。私はその中で、チームビルディング・戦略策定・戦略実行と水平展開していくということを任されています。

JR西日本グループ組織図

菅氏

1年前にはどんな課題がありましたか?

石神氏

色々ありますが、特にチームビルディングの課題を強く感じていました。グループとしての大きな戦略はあっても、実際の現場にはリソースがない。上意下達な組織風土でモチベーションが高くないなど、典型的なレガシー企業でした。

ただ、現場の人たちに主役として頑張ってもらいたかったので、そのようなチームを目指して、この1年やってまいりました。

昨年のマーケティングアジェンダのテーマは「アイデアの発見」だったんですけど、そこでいろいろなパートナーさまの話は貴重なもので、そのなかでメンバーズさんは「運用はラストワンマイルであり真実の瞬間を生むもの」、BICPさんは「アイデア=価値を生む違い」という話をされていました。

その話を大阪に持ち帰って自分なりに咀嚼し、即行動に移しました。

チームのリソースがない中で、昨年のアジェンダに参加する前の思考は、自分にできることはなんだろう、足りない役割をどうやって補うかを考えていました。しかし、参加後はそもそも自分がいないチームをつくるのがいいんじゃないかと考え、メンバーズさんにPMO支援という形でお手伝いいただいたというのが経緯です。

あとはKPIを達成するための戦略や実行についてですが、本部側でできることを現場メンバーと一緒に考えられるよう余白を残しました。

とはいえ、短期で成果を出さないといけないので、成果の出やすいところだけ集中してやる、という判断をしました。強弱をつけながら、全体をやる感じです。

レガシー企業におけるチームビルディング

ビジョン実現に向けた1年間で実施した内容

中通氏

この順番でやった理由はなんでしょう?普通は戦略からチームビルディングという気もするんですが。

石神氏

レガシー企業なので、ざっくりした方針だけ先に落ちてきます。なので人を集めるところからやって、そのあとにコミュニケーション戦略を作っていくという順番になっています。

菅氏

戦略とは目的と資源からつくるものなので、まず人的資源を整えてから現実的に描ける戦略を策定したということですよね。

石神氏

そうです。去年このイベントに来ていろいろ勉強し、そのなかでいい出会いがあり、PMO人材のところをメンバーズさんにご協力いただきました。

これによって私が自由に動ける時間が増えたり、私と同じ目線で相談ができるようになったのが成果です。

メンバーと直接コミュニケーションすると、この見た目なので圧があるみたいで、そこを緩和できたのも個人的には成果かなと思ってます(笑)。

菅氏

圧を改善しようとは思わなかったのですか?

石神氏

圧はなかなか改善できないです(笑)。そもそも、私と担当者が年齢的にも一回り離れていること自体が、圧の原因でもあると認識しています。

なので、一番よかったのは、メンバーズさんから来ていただいた方は年齢が若くて、うちのリーダークラスと同じくらいの年代なので、僕とのコミュニケーションでは、なかなか反対意見を出しづらいところもありますが、同じくらいの年代だと、同じ目線で議論しやすい、というのもあります。

若干寂しいんですけど、うまくまわってるからOKという感じです。

PMO人材を外部から入れることによる効果

PMO体制図

菅氏

ちなみにPMO人材は、どういうスキルで、どういう動きをされているのですか?

石神氏

アプリのPdMとPMOは同じ人材なんですが、アプリのところは開発の責任者をお任せしつつ、組織マネジメントができる方にきていただいてます。

菅氏

つまり石神さんの参謀になっているってことですね。中通さんは、ネスレさんの横断DXプロジェクトの事務局をやってましたが、この人材登用の仕方についてどう思われますか?

中通氏

このようなプロジェクトでは、ステークホルダー間の信頼関係を作っていくのが難しいのかなと思っていて、そこに外部のパワーを活用するのは強い味方になると思います。

なぜなら外部の方が入ると関係を作るべき各ステークホルダーの最初のパーセプションがフラットな状態で開始できるので、理論や条理で推し進めることのできる領域が広がるからです。

菅氏

PMO人材を社内で育てるつもりはないですか?

石神氏

レガシー企業特有なんですけど、2~3年でジョブローテーションしていくというところと、マーケティング分野で専門人材をおくような環境がまだ整ってないので、外部から来ていただいたほうがナレッジもたまっていきやすいと思ってます。

菅氏

組織の人事制度によってハマるハマらないがあるということですね。

永松

石神さんが話していただいた通りで、我々は皆さんと一緒に組織を作りたいと思ってます。事業理解・組織文化の理解が必要だと思ってるんですけど、それを専任チーム制で実現しています。

実際、JR西日本SC開発さん専任部署が僕の本部内にあり、マネジメント機能を同期させています。

「お客さん以上にお客さんのことを理解する」ということを文化として根付かせるだけではなく、お客さんの成果があがることが自分たちの評価になるという制度設計もある。この仕組みによって、メンバー一人ひとりのコミットメントが強いチームを維持しています。

また、PMO支援と組み合わせて、各マーケティングツールや専門技術に強い人材もチームに投入し、お客さまのチームのデジタルリテラシーをあげることにも取り組んでいます。

メンバーズが提供できる組織作りのポイント

菅氏

ちなみに、永松さんのところには、送り込める人材・部下はどれくらいいるんですか?

永松

僕のデジタルマーケティング本部には約600人、メンバーズ全体では約2,500人います。あたかも社員のように、あるいは社員を超えるような動きでコミットできる人材が多く、そこは自負している部分なので、皆さまと一緒に伴走していく、組織を作っていくということをやっていきたいと考えています。

前半パートはこちら

執筆者紹介

株式会社メンバーズ

「“MEMBERSHIP”で、心豊かな社会を創る」を掲げ、DX現場支援で顧客と共に社会変革をリードする、株式会社メンバーズです。

ページ上部へ